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世界に一枚だけの「熟成された服」が
見つかる隠れ家的名店

2016.12.07 other

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東京・京橋にはギャラリーやアンティークショップが軒を連ねていることでも知られています。その中でも珍しいヨーロッパ古着店『Mindbenders&Classics(マインドベンダーズ&クラシックス)』をご紹介します。ちなみに店名のMindbendersとは、“理解しがたいもの”という意味を含む言葉です。このお店は、手動式エレベーターを上がり、さらにその上のペントハウス部分にあります。一歩足を踏み入れると、そこは別世界。クラシカルな看板や、古い人形などの置物が飾られています。

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壁や天井、調度品にいたるまで細かなところまでデザインされた空間。19世紀から20世紀半ば頃の時代を彷彿とさせるフランス古着を目の前にすると、100年前のフランスにタイムスリップしたような気分になります。リネンのワンピース、パッチワークのようになったジャケット、重厚な素材のスカートetc.絵画や古い写真でよく見るフランスの人々の衣服が所狭しと並んでいます。ここまでの品揃えは、本国のお店でもなかなかないとのこと。10年間、京橋の地でこのお店を経営している代表・横見浩士さんにお話を伺いました。

「フランスの古い服には今の私たちが来ている服の原型があり、素材は質の高い天然ものが使われています。これらの衣服には無駄がなくそぎ落とされた、ものの本質があります。特に仕事着や日常着にはそれを強く感じることができます。それに、何十年も使われることで布に染み込んだ時間や物語はとても魅力的ですね。このような衣服たちを列べるにふさわしい場所を探して多くの街をまわりましたが、私たちは新旧が交差する京橋の街……そしてこの古い小さなビルに感じるものがあって、ここに店を構えました。」

江戸、明治、大正、昭和さまざまな好事家たちが魅了された京橋の街は、芸術品のような服がよく似合います。しかし、どのような道をたどってこれらの100年前のフランスの服たちは京橋のお店までやってくるのでしょうか。一般的な古着とは違い、文化や人々の生活の様子など、当時の情報を多く持っているアイテムには、他に代えられない価値があります。「年に数回、フランス各地をまわって集めています。私たちが取り扱っている古い仕事着は、パリなどの大都市よりも地方の納屋の奥などに眠っていることが多く、それを買い付けて販売します。ファッションとして求めていただくお客様も多いのですが、糸をほどいて型紙を起こしたり、ディスプレイ用にお買い求めになる方も多いです。『Mindbenders&Classics』の店内をよく見ると、シミが美しい模様になっていたり、継ぎはぎが抽象画のようになっている服が数多くあります。「実際に当時の人が大切に着ていたものばかりなんですよ。手縫いの修繕や、夫や子への思いが針の跡に感じられるものなども多数あります。このように人の気配や息遣いが伝わる服が好きですね。」

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他にも、獲物の血がついた狩りの服、土がついた農夫の服、絵の具がついた画家の服などもあります。いずれも時の流れが美しいマテリアルとして存在する服たちです。また、何十年も誰にも着られず忘れられていたデッドストックの服もあります。

「やはり、フランスの生活着や仕事着にはシンプルで無駄がない美しさがあります。一方で、気の遠くなるような丁寧な仕事を施された服もあり、とても奥が深いです。このお店の中で一番古いものは150年前くらい前のものでしょうか。これらの服は、現地でも価値が高騰してきていますが、私たちは日常着として着ていただくことも意識して買い付けを行っています。古いコットンのブラウスやリネンのワンピースなどはまだまだお求めやすいです。ぜひこのようなアンティークの衣類を一つ取り入れてみてください。いつもの生活が少し豊かになると思いますよ。」

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INFORMATION

名称 マインドベンダーズ&クラシックス (Mindbenders&Classics)
住所
電話番号 03-3564-1270
営業時間 14:00 ~20:00
定休日 火・水曜日
Webサイト http://shop.mindbendersandclassics.com/

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