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プロの板前さんが日本料理を直伝! 未来と世界に和食文化を繋げる試み

2017.09.04 other

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90年の伝統がある日本料理店「個室会席 北大路」。東京や海外に11店舗を展開し、100人以上の板前さんが活躍しています。日本人はもとより、世界中の訪日外国人が通う店としても有名です。
京橋エドグランにある「個室会席 北大路 京橋茶寮」では2017年8月6日(日)に、小学生の子どもたち12人を対象にした『板前キッズ体験イベント』を開催。これは、日本料理の第一線で活躍するプロの板前さんが、その伝統技術を小学生に直伝するというもの。この無料イベントの一部始終をレポートします。板前さんならではの料理のコツも盛り込んでいますので、参考になるはずです。

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北大路グループの総括調理長・船越智哉さんが「今日は、日本料理の基本である一汁三菜の作り方から、配膳、片付け、挨拶、作法までお教えします」と子どもたちに優しく語りかけるところからスタート。板前さんたちは皆、姿勢がよく大きな声ではっきりと挨拶をしています。その姿を見て、子どもたちも背筋がシャキッと伸びたようでした。
開会式が終わると、皆で厨房に移動。このイベントは、実際に使っている「個室会席 北大路京橋茶寮」の厨房で行なわれました。大きな什器がドンと置かれ、汚れひとつなく拭き清められた厨房に入り、子どもたちも保護者の皆様も感動している様子でした。
一汁三菜の体験実習で、子どもたちが体験するのは、お米をとぐこと、一番出汁をひくこと、味噌をとくこと、ぶり照り焼きを作ることです。

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船越総括調理長による食材の解説。手前から、ブリの切り身、味噌、なめこ、わかめ、小松菜などが並ぶ。鰹節を削ることを初めて知ったという子どももいた。

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子どもたちが触っているのは米。ほかの食材も実際に子どもたちが触ったり、匂いを嗅いだりした。調理前にはどのような状態であるかを知ることは、大きな学びに。

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板前さんのレクチャーでお米を研ぐ。ボウルに入れ、指先でかき混ぜたら、手のひらで押すという“板前の研ぎ方”を実践。

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一番出汁をひき、具材となる豆腐などを入れる。そこに味噌を味噌漉(こ)しで溶いていくこと、お味噌汁は煮立てないことなどを、子どもたちは教えてもらっていた。

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ぶりの照り焼きはフライパンでできて、子どもも調理できる代表的な和食。焼く前に小麦粉をまぶすことで、型くずれしにくくなり、美味しそうな照りが出るというプロならではのコツも学ぶ。

この『板前キッズ体験イベント』で、子どもたちは盛り付け、配膳、片付け、挨拶などの礼儀作法も学んでいきます。四季を意識した盛り付けでは、お皿の選び方から薬味の添え方など、全体的なバランスの良さや彩りを板前さんからレクチャーを受けていました。
配膳、片付け、挨拶については、板前さんたちは子どもたち全員ができるまで、繰り返し優しく、根気よく教えます。日本料理というのは、料理そのものだけでなく、作る人の心や生きる姿勢が大切であることが、子どもたちに伝わっているようでした。

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菜箸とフライ返しを使って、ブリの照り焼きをお皿に盛りつける。

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盛り付けが終わったら、それぞれの保護者が待つ個室に子どもたちが配膳する。船越総括調理長が配膳の手順を教える。大きな声で言えるまで、繰り返し練習。

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「しつれいします」と声をかけて入室。

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「どうぞ、おめしあがりください」と配膳する。

食事の時間が終わったら、食べ終わった器を下げて、閉会式へ。船越総括調理長自ら、板前認定証を子どもたちに渡します。
最後に子どもたちから保護者に向けて「今日は、僕たち、私たちを、北大路に連れてきてくれてありがとうございました」と呼びかけがありました。これは、板前さんたちが子どもたちに“感謝すること”の大切さを教えたから。そんな板前さんたちにも、子どもたちから「料理を教えてくれてありがとうございました」と大きな声で呼びかけて、イベントは終了。
子どもたちも笑顔と充実感あふれる表情をしており、「料理はちょっと難しかったけれど、夏休みに家族に料理を作りたい」など感想をのべていました。

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開会式の緊張の表情とは変わり、子どもたちも板前さんたちもいい笑顔の閉会式。

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船越総括調理長が板前認定証を読み、全員に手渡しした。

ほぼ1日、お店の厨房を解放し、子どもたちに日本料理を教える『板前キッズ体験イベント』を終えて、スタッフの皆様に感想と、今後の展望について伺いました。

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総括調理長の船越智哉さん(右)、サービス担当の野口沙希美さん(中)、板前の廣瀬進さん(左)。

「私たちは100人の板前がいる日本料理店です。板前というのは、技術だけでなく、モラル、道具の手入れ、調理の基礎、接客までたくさんのことを身につけなければならず、それらを伝えて育てていくことにも大きな力を注いでいます。今回のイベントのように、小学生の皆さんに教えるというのは、日本料理の文化を、後世や世界に広めていくことだと感じました。それにつけても、みんな可愛くて、好奇心旺盛で、私達もとても楽しかったです」(船越さん)

「皆さん、とても素直できちんとしていて、私達もいい刺激になりました。小学生の皆さんは、これから広い世界で活躍していくと思います。今、海外からのビジネスや観光客のお客様も増えており、皆さん和食についての知識も豊富です。お味噌や海苔など日本の食材にも興味をお持ちで、きっと和食を通じて海外の方との会話も盛り上がるのではないでしょうか。このイベントで学んだことを、その後に役立ててくださると嬉しいです」(野口さん)

北大路グループ全体で、海外からのお客様が増えたのは、和食がユネスコ無形文化遺産に登録された2013年ごろからだといいます。今回は小学生対象のイベントでしたが、海外のお客様に向けての料理イベントをするとしたら、どのようなメニューになるのでしょうか?
「日本料理を通じて、日本文化を発信するというのはいいと思います。今回のイベントでは小学生の方でも調理しやすいブリの切り身を使いましたが、海外の方向けのイベントとなると、旬の魚をメインに使うと思います。外国人観光客の皆様は“旬”を味わいに、私達のお店を選んでくださっていると感じております。日本酒とのマッチングや、旬の果物の楽しみ方も提案していきたいと思います」(廣瀬さん)

国際化が進む昨今。これからの日本を担う子どもたちに、日本料理と文化を伝承していくことの大切さも知ってもらえる貴重なイベントでした。夏休み中のこの経験が、子どもたちの将来に影響を与えるようなきっかけになるのかもしれません。

INFORMATION

名称 個室会席 北大路 京橋茶寮 東京駅店
住所
電話番号 03-5205-7077
営業時間 平日11:30~14:00(L.O.13:00)、17:00~22:30(L.O.21:00)
土 11:30~15:00(L.O.13:00)、17:00~21:00(L.O.19:00)
日・祝 11:30~17:00(L.O.15:00)
カード 各種ご利用いただけます。
Webサイト https://www.kitaohji.co.jp/kyobashi/

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