街づくりニュース

京橋の粋の神髄を知る、江戸の知られざる文化に触れる。江戸文化の中心地域探索vol.2

2016.05.02 イベント情報

2回に分けてお届けしている、(公益)インテリア産業協会・JAFICAが主催した『江戸文化の中心地域探索』。1回目は、京橋から世界に日本の魅力を発信し続けている筆記具メーカー・パイロットコーポレーションや、山形屋海苔店の方からお話を伺いました。そして、今回はさらなる江戸文化の神髄に迫ります。

江戸の台所も、歌舞伎発祥の地も京橋だった⁉ 大根河岸・江戸歌舞伎の石碑

銀座から京橋に向かう中央通り左側に、『京橋大根河岸青物市場跡』という石碑があります。これは、寛文4年(1664年)にこの地に野菜の売り場が設けられ、青果市場として栄えたことを伝えるもの。ちなみにこの大根河岸は、昭和10年(1935年)に築地に移転しましたので、なんと300年近くも栄えた市場だったのです。今でも、月に1回ほど、付近にある大根河岸公園内にて大根の無料配布会が開催されています。

名称:京橋大根河岸青物市場跡
住所:東京都中央区京橋3丁目4番先

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次に見学したのは、『江戸歌舞伎発祥の碑』。寛永元年(1624年)に猿若勘三郎(中村勘三郎・初代)が猿若座を創設し、これが江戸歌舞伎の始まりであると伝えられています。その後、日本橋堀留町や浅草方面に移転しましたが、火災がきっかけとなり明治時代に廃座になってしまいました。しかし、京橋の地で江戸歌舞伎が始まったことは事実。現在も、18代目中村勘三郎の襲名興行のパレードはここからスタートするなど、歴史的な場所として大切にされています。

名称:江戸歌舞伎発祥の碑
住所:東京都中央区京橋3丁目4番先

粋でいなせな町火消の文化を知る京はし満津金で、江戸町火消錦絵をチェック!

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昭和6年創業の印刷会社、金陽社印刷所。先代から「お客様のお役に立てる印刷会社」をモットーに時代に即した印刷サービスを提供する会社です。現在本社1階では同社の新事業である“江戸の価値観を未来へ継承する印刷店“を目指す「京はし満津金」開店に向けて準備が進められています。当日は開店とともに販売が予定されている江戸町火消しの錦絵を見学させてもらいました。江戸のおもてなしは思いやりと助け合い。京はし満津金では、甘酒と金平糖をごちそうになりました。
代表の細田さんは、「これを描いたのは、京橋で明治時代から四代続いている寿司店・京すしの主人、岡田ちかしさん。直木賞作家の山本一力さんの『まとい大名』の装画や、ジャズ・ベーシストの神様と呼ばれた故レイ・ブラウン氏のCDジャケットのイラストも手掛けています。錦絵に興味を持ったきっかけは、幼い頃、京橋に住むとび頭の叔父さんのカッコよさにシビれたからだそうです。」と話してくれました。
好きが高じて自分で絵筆を握るようになるほど、粋で魅力的な町火消しの世界を堪能。しっかりとした時代考証に裏付けられたイラストはとても細緻。時間をかけて観て頂きたい作品ばかりです。
ちなみに、今回の探索ツアーには、江戸町火消し『せ組』の筒先・鳴島猛人さんが同行。ご祝儀の渡し方や町火消しの生活などを軽妙な江戸弁で解説してくれました。鳴島さんは今でも出初め式やお祭りなどで、いなせな姿を伝えています。

名称:京はし満津金(運営 ㈱金陽社印刷所)
住所:東京都中央区京橋2丁目6番5号 

明治屋京橋ビルで 「江戸っ子の信仰と江戸文字」セミナー千社札と江戸文字の深い関係

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小さな札を埋めるようにみっしりと文字が描かれた千社札。これも江戸の文化のひとつ。その書体・籠文字について、橘右之吉師匠と、千社札文化に詳しい「ゑん重」事、嶋崎秀彦さんにお話を伺いました。
ちなみに、橘右之吉師匠は国立劇場や国立演芸場などのポスターをはじめ、多くの筆耕を手がけています。お台場にある温泉施設『大江戸温泉物語』をはじめ企業名や施設のロゴタイプも師匠の手によるもの。ちなみに、前出の籠文字や、芝居文字、寄席文字などの図案文字の総称を江戸文字と言い全部で7種類もあります。橘右之吉師匠はこの江戸文字の大家なのです。
千社札せんしゃふだは、神社や仏閣の参拝時に柱や天井などに貼る札で、自分の名前や住所などを描き込んだもの。貼札は基本的にスミ刷りで、スミに含まれる防腐効果を狙っているそうです。色使いやデザインに凝った色札いろふだというものもありますよ。」(師匠)
「この札が神社仏閣に貼られている間は、参籠(宿泊参拝)と同じ功徳があるという信仰の風習から始まったといいます。デザインや形を競い、天井や壁の角に貼る三角形のものなども登場しました。他人の札と重ねず、神社仏閣の許可をいただいてから貼るのが本筋。今は多くの神社仏閣で禁止されてしまっていますが。」(嶋崎秀彦さん)

名称:明治屋京橋ストアー
住所:東京都中央区京橋2丁目2番8号

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江戸町火消し『せ組』の鳴島さんの木遣きやりで『江戸文化の中心地域探索』のツアーは終了!ちなみに、木遣りとは労働歌のひとつですが、今では結婚式などの慶事に歌われています。

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