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【閉店】黄金色に輝く出汁に夢中!文豪を魅了した創業250 年の名店ランチ

2018.05.17 washoku/osake

美々卯_1

大阪の堺市で創業し、創業250 余年を迎えた老舗の料亭『美々卯』。この店は、美食家で知られた文豪・谷崎潤一郎、“憲政の神様”と言われ、大正・昭和期に活躍した政治家・尾崎行雄、世界中で称賛されている画家・藤田嗣治など、日本のレジェンド達に愛されてきたお店です。
『美々卯』の名が全国に広まったのは、昭和3(1928)年に、先代の薩摩平太郎が考案した『うどんすき』。うどんをしゃぶしゃぶのように味わいつつ、鶏肉や卵、しいたけを入れるこの料理は、関西の代表的な料理として受け継がれています。
ここ京橋店は、東京進出第一号店。昭和48(1973)年から45 年間、上品な関西だしを使った料理で、東京の人の心と胃袋をつかみ続けています。

荘厳な門構えに臆さず、まずは店内へ
京橋店の門構えは荘厳の一言。格子を多用した建物は、重厚感たっぷり。「コース料理しかないんじゃないかな……」という思いが頭をよぎりますが、単品メニューも。大小の個室が並ぶ店内では、ビジネス街・京橋らしく、ランチ会食が開かれていることが伝わってきます。
ランチメニューの中でも人気があるのは、看板料理『うどんすき』(3,000 円・税込・ランチコース)や、華やかで豪華な『松花堂弁当』(3,400 円~・税込・要予約)など。いずれも仕事が休みの日に、ゆっくりと味わいたいメニューばかりです。

昼休みは1 時間しかないから、関西名物かやくうどんをオーダー
『美々卯』は大阪で磨かれてきた老舗。それなら、関西らしいものを食べたいとメニューを見て、かやくうどんをメインに据えた『かやくセット』(1,570 円・税込)をオーダー。関西では主役を引き立てる具材や調味料のことを“かやく”と言う文化があります。ちなみに関東では“五目”と言い、いずれも語源は中国の漢方の思想というのが通説のようです。出てきたうどんを見ると、出汁が黄金色に澄み、輝いており、その美しさに引き込まれます。先代が考案したという可愛い貝のレンゲですくい、一口含む。まずは、昆布の味が来ると思いきや、カツオ出汁の香りが口の中いっぱいに広がり、続いて昆布の旨みがやってきます。聞けば、土佐・屋久島産の宗田節と北海道・利尻産の昆布のみを使用しているのだとか。
続いて、太打ちのうどんに箸を伸ばすと、スッキリした出汁が、うどんに絡み合うという素晴らしいハーモニー。出汁とうどんをベースに、生麩、里芋、穴子、鶏の胸肉、揚げ餅などの具材が加わり、うどんの味わいの表情を引き出してくれます。これを音楽に例えるならジャズ。名演奏を聴いているのと同じ感覚で、うどんを食べるという初体験ができるはず。

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うどんはコシのある自家製麺の太打ち麺。揚げ餅には『美々卯』の焼き印が。かやくご飯(鶏ごぼう飯)、おひたし、漬物、季節の果物(取材時は八朔)が付く。

絶品出汁と湯葉がからむ『花ゆばうどん』も食べたい料理のひとつ
『花ゆばうどん』(980 円・税込)もここで食べたい料理のひとつ。湯葉は出汁の味で引き立つ食材の代表格であり、それならばこのお店の出汁でたっぷり食べたい。これは、そんな欲求を満たしてくれます。具は湯葉だけでなく、鶏肉や青菜のおひたしも加わっており、満足感も高い。かなりのボリュームがあるのに、出汁の最後の一滴まで頂きたくなる、芸術品のような逸品。

美々卯_2

写真は『花ゆばうどん』に『かやくご飯セット』(420 円・税込)を追加したもの。

店内は老舗独特の静かにゆったりとした時間が流れていて、しばしホッと落ち着けます。そんな凛とすがすがしい空間の中で世の中の流れにおもねらず、独自の味を磨き続けるうどん料理を食べる贅沢……。わざわざ銀座から足を運ぶ人が多いというのも納得です。

今回食べたランチ
かやくセット 1,570 円(税込)
花ゆばうどん 980 円(税込)+『かやくご飯セット』 420 円(税込)

ランチマップを見る

INFORMATION

名称 【閉店】美々卯 京橋店
住所
電話番号 03-3567-6571
営業時間 [月~土]11:30~21:30(L.O.20:30)
[日・祝]11:30~21:00(L.O.20:00)
定休日 不定休

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