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お得でボリューム満点、昔ながらの“町中華”~國泰飯店~

2020.08.31 chuka

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平日のランチ時、京橋駅近くにあるオフィスビルの小さなドアに、続々と人が入っていきます。 看板には「中華料理 國泰飯店」の文字。長い間、地元の人やビジネスワーカーに愛されてきた“町中華”の風情が漂っています。
今、この“町中華”が注目を集めています。はっきりとした定義があるわけではありませんが、「昭和から続いている」「個人経営」「安い」「美味しい」「ボリュームがある」「気軽に行ける」のが“町中華”だと言われています。テレビで取り上げられたり、雑誌で特集が組まれたり、書籍が出たりと、チェーン店や高級店にない魅力が掘り起こされています。
「國泰飯店」があるのはビルの2階。ビル自体の入り口は表と裏があり、迷う人が多いのか、裏側にも吊り看板が出されています。
一階の入り口を入ると、中華風に飾られた階段。そこを上がると、店内は入り口からは想像がつかない広い空間が広がっています。

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國泰飯店は、昭和22年に先々代が八重洲に開店したのが始まりで、先代が昭和31年に京橋にお店を移し、町の再開発により京橋で3度移転をしながら、ここに暮らす人、ここで働く人達の心とお腹を満たしてきました。中華料理の中でもジャンルは北京料理ですが、お客さんの好みに合わせて少しずつ味を変えてきたのだそう。
「中国料理」ではなく「中華料理」の看板にもその意味が現れていますね。(「中華料理」は日本でアレンジされた中国風の料理を指すことが多いのだそう)

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店内は、円卓と大きな長テーブルで相席が基本です。これも町の中華料理店ならではの気軽な雰囲気。9割が男性ですが、中には女性が1人で食事を楽しんでいる姿もあります。常連客も多いようで、お店の人が親しく話しかけています。
ちなみに、中華料理店にかかせない回転テーブルは日本で発案されたものと言われています。大皿で提供されることが多い中華料理を、席を立つことなく手軽に取り分ける方法として目黒雅叙園で始まったものが、日本全国に広まったのだそうです。

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麺類やご飯ものも充実していますが、おすすめの定食の中から「エビと卵のチリソース」(930円税込)と「麻婆豆腐定食」(880円税込)を注文。
どちらにも、ご飯、小鉢、スープ、お新香がついています。

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「エビと卵のチリソース」はお皿から溢れんばかりの豪快な盛り付けです。たっぷりのソースの中に、エビ6尾とフワフワの卵が絡まっています。
実はこの「エビチリ」は日本でアレンジされたもので、辛みになれていない日本人のために、「干焼蝦仁(カンシャオシャーレン)」にケチャップや卵を加えて作られたものだそうです。

「國泰飯店」の「エビと卵のチリソース」は、口に入れた瞬間は甘みが広がるのですが、時間差で辛みが追いかけてきます。大盛りご飯が進む味付けです。

セットでついている鶏ガラの効いた熱々のスープは安心するおいしさ。小鉢はどこか懐かしい味の春雨サラダ、ザーサイもあって箸休めにぴったり。

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続いて「麻婆豆腐」。こちらもソースがたっぷりと盛られています。
「麻婆豆腐」というとご存知のとおり本来は「四川料理」。「陳さんという店主の料理店のおかみさんがつくる豆腐料理が評判になり、そのおかみさんの顔にあばたがあって麻婆(あばたのおばさん)と呼ばれていたことから麻婆豆腐の名が付いた」と言われています。
その特徴は、山椒のしびれる味と唐辛子の辛みですが、「國泰飯店」の「麻婆豆腐」は、甘めの味噌がきいた味にアレンジされています。それほど辛くないと思いきや、こちらも後から豆板醤を感じるパンチの効いた味です。

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会計の時に、店主に「近くからきたの? ポイントカードつくるサービスあるから、またきてね。」と声をかけられました。
いまやポイントカードもアプリの時代ですが、こんな手書きのお知らせと紙のポイントカードで店主とコミュニケーションをとれるのも「町中華」の醍醐味かもしれません。
この店の常連客は、その味だけではなく、昭和を感じるどこか落ち着く雰囲気も味わいに来ているのかもしれないですね。

今回食べたランチ
エビと卵のチリソース 930円(税込)
麻婆豆腐定食 880円(税込)

INFORMATION

名称 国泰飯店
住所
電話番号 03-3281-2602
営業時間 【ランチ】[月~土]11:00~15:00
【ディナー】[月~土]17:00~22:00
定休日 日曜・祝日

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